
はじまりはペヨーテだった その3
豪快に砂ぼこりをたてながら、私たちを乗せた車は、ペヨーテが自生するという砂漠を目指した。
『どうか私が、ペヨーテの力を得るに値する人間でありますよう。』
私は、私自身が勝手に作り上げた儀式に対して、かなり真剣だった。こんなチャンスはもうニ度とないと確信していたし、その時二十歳という人生の節目にあったことがその想いを強くしていた。
そう、それは私の成人の儀式だったのだ。
現地に到着した。
想像していた砂だけの砂漠とは違い、所々低木や様々な種類のサボテンが生えている乾燥した原野。

宿の主人は親切にペヨーテの探し方を教えてくれた。そういえば、私たちは愚かにも、ペヨーテがどんな姿をしているのかさえ知らなかった!
様々な種類のサボテンが自生している中、コレだよ。とひとつ見つけてくれた。彼の助けが無いとペヨーテ探しは無理だったかもしれない。それは、初心者には絶対わからないと言いきれるほどわかりにくい生え方をしていた。
自身の儀式に真剣に向き合っていた私は、ペヨーテを自分で見つけるところから試練だと思っていたので、さらに自分でペヨーテを探した。なかなか見つけられなくて、太陽に照らされる砂漠の中をウロウロと必死になって探した。
そしてついに、見つけた!
私についてきた友人は宿の主人が見つけたペヨーテを、私は私自身が見つけたペヨーテを、
いよいよ試す時が来た。
低木に囲まれた比較的居心地の良い場所を選んで、ペヨーテとバナナと水を目の前にセットした。
『ペヨーテよ、どうか私に力をかしてください。』
つづく
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